赤字商品の値上げは
いくら必要?
「売れているのに利益が残らない」「値上げすれば黒字になる?」を、1件あたりの利益と月間固定費に分けて考えます。
まず、赤字の原因を2つに分ける
商品が赤字になる原因には、大きく分けて2つあります。売るたびに損失が増えるケースと、1件あたりでは利益が出ても固定費を回収できないケースです。
1件あたりの限界利益は「販売価格 − 変動費 − 販売手数料」で計算します。ここでいう変動費には材料費、梱包費、販売件数に応じて発生する送料などを含めます。固定費は月額の家賃やツール代など、販売数にかかわらず発生する費用です。
限界利益がマイナスなら、同じ条件で販売数を増やすほど赤字が拡大します。限界利益がプラスでも、月間販売数が少なければ固定費を回収できません。
例:2,000円で販売している商品が赤字の場合
以下は説明用の仮の条件です。実際の販売手数料はサービスごとに異なります。
| 項目 | 仮の条件 |
|---|---|
| 現在の販売価格 | 2,000円 |
| 1件あたりの変動費 | 1,500円 |
| 販売手数料率 | 5% |
| 1件あたり定額手数料 | 40円 |
| 月間販売数 | 50件 |
| 月間固定費 | 30,000円 |
現在の1件あたり限界利益は「2,000 − 1,500 − 100 − 40 = 360円」。月間利益は「360 × 50 − 30,000 = −12,000円」で赤字です。
月50件売れるなら、黒字化に必要な最低価格は?
月間利益を0円以上にする最低価格は、次の式で求められます。
必要価格={(目標月間利益+月間固定費)÷販売数+1件あたり変動費+定額手数料}÷(1−手数料率)
この例では「(30,000 ÷ 50 + 1,500 + 40)÷ 0.95 = 2,252.63…円」。1円単位で切り上げて2,253円です。現在の2,000円から253円、約12.65%の値上げに相当します。
ただし、値上げ後も月50件売れるとは限りません。販売数が40件に減ると、同じ条件での最低価格は2,411円に上がります。
逆算ツールには目標月間利益0円、固定費30,000円、販売数50件、変動費1,500円、定額手数料40円、手数料率5%を入力してください。ツールの初期値は別のサンプルです。
値上げする前に確認したいこと
- 原価や手数料の計上漏れがないか:送料、梱包、決済手数料を含めて確認する。費用を二重に入力しない。
- 固定費をどう配分しているか:複数商品がある場合、全商品の固定費を1商品に重複して割り当てない。
- 販売数が減っても成り立つか:現状の件数だけでなく、80%程度まで減った場合も試算する。
- 値上げ以外の選択肢はないか:仕入れ・梱包の見直し、商品構成の変更、販売方法の改善なども比較する。
- 税金や資金繰りは別に考える:この計算は簡易的な採算試算であり、会計上の利益や現金残高を示すものではない。
値上げ率の計算は無料の値上げ率計算ツール、値上げ後の販売数減少と利益の比較は無料の利益シミュレーターで確認できます。
複数の商品を継続して管理するなら
赤字商品が複数ある場合は、商品ごとに価格・費用・販売数を整理し、値上げ前後を比較する必要があります。最大20商品を比較し、12か月の実績を手入力で記録できるExcel版の機能と購入前の注意点も紹介しています。単発の試算なら無料ツールで十分です。
よくある質問
赤字なら必ず値上げすべきですか?
必ずしもそうではありません。価格を上げると販売数が減る可能性があり、費用削減や商品構成の見直しが有効な場合もあります。
販売数が0件でも黒字化できますか?
固定費がある場合、販売数0件で売上から固定費を回収することはできません。必要価格の逆算は販売数1件以上で行います。
目標利益を月5万円にしたい場合は?
式の「目標月間利益」に50,000円を加えて計算します。目標利益から販売価格を逆算する解説も参考にしてください。
※本文の数値は仮定した条件での概算です。手数料の端数処理や消費税、販売価格による需要変化は個別に確認してください。