価格と利益の計算室|ハンドメイド・対面販売の採算
マルシェ出店の利益計算|出店料・交通費と売れ残りを分けて試算する
「売上はあったけれど、出店料や交通費を引くといくら残るのだろう」。イベント出店では、作品1点の材料費に加え、販売数にかかわらずかかる費用を回収する必要があります。
まず、売れた分の費用を引いた採算を計算しましょう。次に、売れ残った作品の材料などへ先に支払った金額も含めて、資金の増減を確認します。この二つを分けると、「利益は出たのにお金が増えていない」という違いを整理できます。
以下は1種類の作品を1回のイベントで販売する架空の例です。相場・売れ行き・利益の予測ではありません。自分の制作・販売時間の評価額、税金、事業共通の月固定費、返品・破損等は含めない管理用の簡易試算です。税務上の在庫評価や会計処理を判断するものではありません。
1.販売1点ごとの費用と、出店1回の費用を分ける
- 販売1点ごとの費用:その作品の材料・包装、売上に応じた販売・決済手数料など。
- 出店1回にかかる費用:出店料、往復の交通費、駐車場代、什器のレンタル代、搬入・搬出費など。
例えば、ハンドメイドマルシェ in 東京ドームシティの公式FAQでは、テーブル・イスが標準では付かず、必要に応じてレンタルする案内があります。出店料に何が含まれるかは、参加する開催の募集要項で確認してください。参照日:2026年10月20日。以下の金額は同イベントの料金ではありません。
販売サイトの料金と、対面決済の料金も混同しないようにします。現金とキャッシュレスで条件が違う場合は、それぞれの売上と費用を分けて計算します。注文ごとの定額手数料がある場合も、1注文で何点売れるかに注意してください。
2.2,500円の作品を20点販売した場合
| 項目 | 条件 |
|---|---|
| 1点の販売価格 | 2,500円 |
| 1点の材料・包装費 | 1,000円(材料900円+包装100円) |
| 決済手数料率 | 全売上に3%、定額手数料なし |
| 出店料 | 6,000円 |
| 往復交通費 | 2,000円 |
| 什器レンタル代 | 1,000円 |
| 販売点数 | 20点 |
1点を売ると残る金額は、2,500−1,000−2,500×3%=1,425円です。ここから出店1回の費用を回収します。
出店料・交通費・レンタル代の合計は9,000円。20点売れた場合の利益は、1,425×20−9,000=19,500円です。売上50,000円を、そのまま利益と扱わないようにします。
3.何点売れば出店費用を回収できるか
1点の残額がプラスなら、費用回収に必要な点数は「出店1回の費用÷1点の残額」を切り上げて求めます。この例では9,000÷1,425=約6.32なので、7点です。6点では−450円、7点では975円になります。
| 販売点数 | 売上 | 出店費用を引いた利益 |
|---|---|---|
| 5点 | 12,500円 | −1,875円 |
| 10点 | 25,000円 | 5,250円 |
| 20点 | 50,000円 | 19,500円 |
| 30点 | 75,000円 | 33,750円 |
7点は、ここに含めた費用を回収する計算上の境目です。7点売れるという予測でも、事業全体の黒字化を示す数でもありません。1点の残額が0円以下なら、この計算では販売点数を増やしても9,000円を回収できません。
異なる価格の作品を扱う場合は、各作品の「1点の残額×販売点数」を合計し、共通の出店費用を一度だけ引きます。共通費を商品別に配る際は、固定費の配分と二重計上を防ぐ例も確認できます。
4.40点分を先に用意した場合、資金はどう動くか
今度は、材料・包装を40点分、合計40,000円で新たに用意し、その支払いも行ったと仮定します。そのうち20点を販売し、残り20点分は次回以降も販売に使える状態で手元に残ったものとします。
売れた20点分の材料・包装費20,000円を引く管理用の採算では、前節と同じ利益19,500円です。一方、今回に関連する収入・支払いがすべて完了した時点の資金の増減は、次のようになります。決済の入金待ちはないものとします。
売上50,000−40点分の材料・包装40,000−決済手数料1,500−出店費用9,000=−500円。
この例では、売れていない20点分の材料・包装20,000円が手元に残るため、利益と資金増減に20,000円の差が生じます。残った分が次回必ず売れるとは限りません。劣化・破損・値下げ・処分が必要な場合や、すでに以前の期間に支払っていた材料を使う場合は、費用と支払時期を改めて整理してください。
この19,500円からは、自分の時間の評価額も引いていません。制作、募集や準備、往復移動、設営、販売、片付けに使った時間を別に記録し、「時間も含めて続けられるか」を確かめましょう。現金の支払いと時間の評価額は区別し、同じ費用を重ねて引かないようにします。
5.無料ツールで販売点数を変えて試す
無料の利益比較ツールで、20点販売と10点販売を比べられます。この記事では販売1点を1件として、次の条件を入力してください。
- 現在の単価・変更後の単価:どちらも2,500円。
- 現在の販売数:20件。変更後の想定販売数:10件。
- 1件あたり変動費:1,000円。固定費:9,000円。
- 手数料率:3%。定額手数料:0円。目標利益:0円。
表示される利益は現在19,500円、変更後5,250円、損益分岐点は7件です。手数料を別欄に入れるため、変動費1,000円へ同じ手数料を加えないでください。
ツールの項目名・結果は月間表示です。この記事では対象を1回の出店にそろえて代用しており、月全体の利益や資金増減を計算したものではありません。月間作業時間欄も対象の制作・準備・当日の時間へそろえてください。作業時間は参考時間あたり利益に使われ、自動で人件費として引かれません。売れ残りの管理・支払時期・決済の入金時期を扱う機能はありません。
比較した条件と結果を残したい場合は、結果欄の「入力条件と結果を印刷・PDF保存」からブラウザーの印刷画面を開けます。PDF保存はブラウザーが対応している場合に選択できます。
6.出店後に記録すること
- 作品ごとの販売点数・売上・決済手段別の手数料。
- 出店料、交通・搬入費、レンタル代などの実際の支出。
- 持込数と残数、次回へ使える分と処分が必要な分。
- 制作・準備・移動・販売・片付けの時間と、入金・支払の時期。
少ない実績だけで次回の売上を決めつけず、販売点数が少ない場合も試算して準備量を考えます。作品自体の値付けはハンドメイド作品の価格設定、販売先へ預ける場合は委託販売の手数料と採算で整理できます。
複数作品の価格比較と毎月の実績記録を続けたい場合は、最大20商品・12か月管理のExcelも選択肢になります。出店ごとの在庫・資金繰り・入金待ちを自動管理する商品ではありません。同じ月の出店をまとめる場合も、販売実績と共通費の集計・配分は利用者が行います。