価格と利益の計算室|予約と提供時間
サロン・個人レッスンの稼働率の計算方法|目標利益に必要な予約数と枠数
「月にこれだけ予約が入れば目標に届く」と分かっても、その件数を受けられるとは限りません。施術やレッスンの前後に準備・片付けがあれば、予定表で必要な時間も長くなります。
予約型サービスの計画では、利益から求めた必要予約数を、実際に用意できる枠数と照合します。ここでは、1人の予約が1つの枠を使うサービスを想定し、予約時点の稼働率とキャンセル後の実施率を分けて計算します。
1.予約枠は、準備・片付けを含む時間で数える
60分のサービスに準備と片付けが合計30分かかるなら、1予約あたりの確保時間は90分です。1日に予約へ使える時間が6時間なら、6÷1.5=4枠。月20日営業する場合は、月80枠になります。
月間提供枠数=1日に確保できる枠数×営業日数
1日の枠数=予約に使える時間÷1予約の確保時間(端数切り捨て)
営業日ごとの提供時間が異なる場合は、日ごとに枠数を計算して合計してください。休憩、会計処理、広報などの時間は、予約に使える時間から先に除きます。
例えば1日5時間・月20日・1枠1.5時間なら、1日3枠で月60枠です。月100時間をまとめて1.5時間で割ると66枠になりますが、日ごとに残った30分を別の日へ移して予約を入れることはできません。
2.予約の稼働率と、実施した割合を分ける
予約時点の稼働率=予約件数÷提供枠数×100
実施率=実施件数÷提供枠数×100
月80枠に64件の予約が入れば、予約時点の稼働率は80%です。そのうち8件がキャンセルになり、空いた枠に追加予約がなければ、実施は56件。提供枠に対する実施率は70%になります。
この例のキャンセル率は8÷64=12.5%です。キャンセル率の分母は予約件数、実施率の分母は提供枠数なので、同じ割合ではありません。
ここでは比較のために上の定義を使います。予約システムなどで「稼働率」を見るときは、その数字が予約時点か実施後か、件数か時間かを確認してください。長さが異なるメニューを比べる場合は、件数だけでなく占有する時間も整理します。
3.目標利益から必要予約数を逆算する
次の架空の条件で、月200,000円の参考利益を目指す場合を考えます。
| 項目 | 仮の条件 |
|---|---|
| 1件の料金 | 6,000円 |
| 実施1件あたりの費用 | 2,600円(材料等800円+時間の評価額1,800円) |
| 売上にかかる手数料率 | 3% |
| 月間固定費 | 50,000円 |
| 想定キャンセル率 | 10% |
| 月間提供枠数 | 80枠 |
実施1件から残る金額は、6,000×0.97−2,600=3,220円です。キャンセル料、空き枠への追加予約、キャンセル時に回収できない材料費などは含めません。
必要予約数=(目標参考利益+月間固定費)÷{実施1件の残額×(1−想定キャンセル率)}
予約件数として使うときは最後に端数を切り上げます。
この例では、250,000÷(3,220×0.9)=約86.27件なので、必要予約数は87件。87件から期待される実施件数は78.3件、参考利益は202,126円です。
実施件数の小数は将来の期待値を表します。実際の実施件数は整数であり、キャンセルのばらつきもあるため、87件予約を集めれば必ず目標を達成するという意味ではありません。
実施1件の残額が0円以下の場合やキャンセル率が100%の場合は、この式で正の目標利益に必要な予約数を求められません。自分の時間の評価額を費用に含めた参考利益は、会計上の利益・現金収支・税引後の手取りとは異なります。
4.必要予約数が提供枠を超えていないか確認する
必要な87件を、月80枠では受けられません。必要予約数を枠数で割ると108.75%で、予定表に収まらない計画です。月80枠がすべて予約で埋まっても、キャンセル率10%なら実施件数の期待値は72件、参考利益は181,840円です。
「キャンセル後なら78.3件なので、80枠に入る」と考えないようにしてください。キャンセルが分かる前には87件分の枠を確保する必要があります。この試算では重複予約や空き枠の再販売を扱いません。
同じ費用・手数料・キャンセル率のまま料金だけを変えると、必要な予約数は次のようになります。
| 料金 | 実施1件の残額 | 必要予約数 | 80枠に対する割合 | その予約数の参考利益 |
|---|---|---|---|---|
| 6,000円 | 3,220円 | 87件 | 108.75% | 202,126円 |
| 8,000円 | 5,160円 | 54件 | 67.5% | 200,776円 |
| 9,000円 | 6,130円 | 46件 | 57.5% | 203,782円 |
料金が上がるほど、この条件で目標に必要な予約数は減ります。ただし、値上げ後も同じように予約が入るかは別の検討です。この表は需要予測でも推奨価格でもありません。
枠数が足りない場合は、料金、材料等の費用、固定費、準備を含む提供時間、営業日や提供時間を見直します。提供時間を短くする案では、時間の評価額など時間に連動する費用も計算し直してください。
5.自分の条件で確かめる順番
- 1予約で確保する時間と、日ごとの提供枠数を出す。
- 実施1件から残る金額と、想定キャンセル率を整理する。
- 目標利益から必要予約数を求め、提供枠に収まるか確認する。
- 予約減少やキャンセル増も想定し、条件を変えて比較する。
キャンセルによる利益の変化は、無料のキャンセル利益計算ツールで試せます。必要予約数・枠数・稼働率の自動計算機能はないため、上の式で別に確認してください。時間の評価額を含める場合は「実施1件あたりの費用」に加え、固定費などとの二重計上を避けます。
料金設定から整理したい方は、サービス業の料金の決め方をご覧ください。
目標利益に必要な料金・予約件数と、提供枠・稼働率を継続して比較したい場合は、サービス業向けExcelが選択肢になります。1種類のサービスはStandard、最大6サービスの採算・時間配分を比較する場合はProの機能を確認できます。予約の予測や実際の予約受付を行う商品ではありません。