価格と利益の計算室

サービス業の料金の決め方|提供時間・キャンセル・目標利益から考える

サロン、個人レッスン、相談サービスなどの料金は、材料費だけを基準にすると、準備や片付けに使う時間が抜け落ちやすくなります。まず「月に何件提供できるか」と「1件あたり何が残るか」を整理しましょう。

この記事の数値は計算方法を説明する架空の例です。相場や需要を示すものではありません。

最初に、予約1件の単位を決める

ここでは、1人の予約が1つの提供枠を使うサービスを想定します。グループレッスンなど複数人が同じ時間枠を使う場合は、人数による売上と枠数を分けて整理する必要があります。

60分の施術でも、準備と片付けに合計30分かかれば、予定表では90分必要です。料金表に載せる時間と、運営上確保する時間を分けて考えると、無理な予約件数を前提にした試算を避けやすくなります。

費用と、自分の時間の評価額を整理する

自分の時間を1時間2,000円として計算するなら、90分の提供では1件3,000円を時間の評価額として扱います。この金額を費用として差し引いた利益は、会計上の利益や現金収支とは異なります。従業員の人件費などを別途入力する場合も、同じ費用を二重に含めないようにしてください。

変動費・固定費・作業時間の整理方法も確認できます。

計算例:8,000円のサービスを月60件提供する場合

項目仮の条件
料金8,000円
1件の変動費1,000円
決済手数料率3%
1件の提供時間(準備・片付け込み)1.5時間
時間の評価単価2,000円/時間
月間固定費60,000円
実施件数60件

1件あたりの残額は、8,000−1,000−8,000×3%−1.5×2,000=3,760円です。60件実施した月の参考利益は、3,760×60−60,000=165,600円になります。

時間の評価額を引く前の残額は345,600円です。180,000円の差は、1.5時間×60件×2,000円として織り込んだ自分の時間の評価額です。「利益」が何を差し引いた数字なのかをそろえて比較しましょう。

目標利益から料金を逆算する

同じ条件で、時間の評価額を差し引いたあとに月200,000円を残したい場合、必要な料金は次の式で考えられます。

必要料金={(目標利益+月間固定費)÷実施件数+1件の変動費+1件の時間評価額}÷(1−手数料率)

例の数値では、{(200,000+60,000)÷60+1,000+3,000}÷0.97=約8,591.07円。1円単位で目標を下回らない料金は8,592円です。

これは入力条件から求めた必要額です。その料金で予約が得られるかは、内容、対象顧客、提供価値などと合わせて検討します。手数料率100%や実施件数0件では、この式で料金を求められません。

予約件数と、キャンセル後の実施件数を分ける

予約が60件あっても、キャンセル率10%を見込む場合、期待する実施件数は60×(1−0.10)=54件です。例の条件では、参考利益は3,760×54−60,000=143,040円となります。

キャンセルで空いた枠を再販売できるか、キャンセル料を受け取るかによっても結果は変わります。この例では、どちらも含めません。予約を増やした案を比較するときも、実施件数と売上が同じ割合で増えると決めつけず、前提を確認してください。

キャンセルによる利益減少や、空いた枠を埋めた場合の考え方は、予約キャンセルの利益への影響を計算する解説で詳しく紹介しています。

値上げ案は、予約減少とセットで比較する

料金を8,000円から9,000円へ変更すると、1件の残額は9,000×0.97−1,000−3,000=4,730円。実施件数が60件から54件に減っても、参考利益は4,730×54−60,000=195,420円です。

現在の165,600円を保つには、(165,600+60,000)÷4,730を切り上げて48件の実施が必要です。キャンセルを別途見込むなら、必要な予約数はさらに多くなります。ここでの54件はキャンセルを含む最終的な実施件数であり、キャンセル率をもう一度引く数字ではありません。

最後に、提供できる時間と照合する

1件1.5時間で、月120時間を予約枠に使えるなら、上限は120÷1.5=80枠です。目標に必要な予約数がこの上限を超える場合は、料金、変動費、提供時間、提供可能時間などを見直します。

広報、会計処理、休憩などに必要な時間も確保してください。キャンセルが発生する前提でも、予約時点では枠を占有します。キャンセル後の実施時間だけで予約上限を判断しないことが大切です。

自分の条件で試算するには

基本的な価格変更の考え方は、無料の利益シミュレーターで試せます。ただし、無料版には予約枠・キャンセル率・時間評価額の自動控除がありません。この記事の例とそのまま同じ結果を再現するツールではありません。

予約件数と提供時間を含めて継続的に試算したい場合は、サービス業向けExcelのStandard/Pro比較をご覧ください。1種類のサービスはStandard、最大6サービスの採算と改善施策を比較する場合はProが選択肢になります。

まず整理するのは、料金、費用、実施件数、1件に使う時間の4つです。目標から求めた必要額と、実際に提供できる枠数を照合すると、料金だけでは解決しない課題も見つけやすくなります。