価格と利益の計算室|複数サービスの比較
サービス別の利益を比較する方法|高単価メニューほど儲かる?
「料金の高いメニューを増やせば、利益も増えるはず」。サロンや個人レッスンでメニューを見直すとき、売上額だけを見ると、そのように感じるかもしれません。
ただし、料金が高くても、材料費が大きかったり、提供に長い時間がかかったりすれば、同じ時間に残る金額は小さくなります。複数メニューは、1件あたりの金額と、必要な時間をそろえて比較しましょう。
以下は、1件の予約が1つの枠を使うサービスの架空の例です。相場や需要を示すものではありません。キャンセル、空き枠の再販売、税金、追加の集客費用は含めません。
1.まず実施1件から残る金額を求める
例では、自分の時間を1時間1,200円として評価します。準備・片付けを含めた提供時間に、この評価単価を掛けた金額を費用として差し引きます。
| 項目 | メニューA | メニューB |
|---|---|---|
| 1件の料金 | 6,000円 | 9,000円 |
| 材料等の変動費 | 800円 | 1,500円 |
| 売上にかかる手数料率 | 3% | 3% |
| 提供時間(準備・片付け込み) | 1.5時間 | 3時間 |
| 時間の評価額 | 1,800円 | 3,600円 |
| 実施1件の残額(固定費控除前) | 3,220円 | 3,630円 |
計算式は、料金×(1−手数料率)−材料等の変動費−時間の評価額です。Aなら6,000×0.97−800−1,800=3,220円。Bなら9,000×0.97−1,500−3,600=3,630円になります。
1件単位ではBのほうが410円多く残ります。ただし、BはAの2倍の時間を使います。ここで残額と呼んでいる金額からは、まだ月間固定費を差し引いていません。
自分の時間の評価額は、会計上の支出とは異なります。ここで求める参考利益は、現金収支や税引後の手取りではありません。すでに変動費へ同じ人件費や時間評価額を含めている場合は、重複して差し引かないようにしてください。
2.時間あたりの残額で比べる
時間あたりの残額=実施1件の残額÷提供時間で比較します。
- A:3,220÷1.5=約2,146.67円/時間
- B:3,630÷3=1,210円/時間
この条件では、1件の料金も残額もBのほうが大きい一方、時間あたりではAのほうが大きくなります。提供に使える時間が限られている場合は、この違いも確認します。
この記事の「時間あたりの残額」は、時間の評価額を差し引いた後・固定費を差し引く前の比較指標です。サービス業向けExcelの「料金設定」B27にある、固定費控除後・時間評価額控除前の「実質時給」とは定義が異なります。
3.月間の実施件数と固定費まで含める
月120時間を予約の提供に使えると仮定します。Aへ60時間、Bへ60時間を割り当て、すべて同じ月に予約・実施できた場合、Aは40件、Bは20件です。
Aの残額は3,220×40=128,800円。Bは3,630×20=72,600円。合計201,400円から共通の月間固定費50,000円を差し引くと、参考利益は151,400円です。
| 時間配分の仮定 | 実施件数 | 固定費控除前の残額合計 | 月間参考利益 |
|---|---|---|---|
| Aへ120時間 | A:80件 | 257,600円 | 207,600円 |
| A・Bへ各60時間 | A:40件/B:20件 | 201,400円 | 151,400円 |
| Bへ120時間 | B:40件 | 145,200円 | 95,200円 |
固定費は3案とも月50,000円です。時間あたりで大きく残るAの比率を増やすと、この仮定での参考利益も増えます。しかし、Aの予約を80件得られるという予測ではありません。提供内容の違い、利用者の希望、リピート、追加予約の獲得費用なども合わせて判断します。
月間の時間が足りていても、日ごとの空き時間に実際の予約が収まるとは限りません。予約枠の数え方は、必要予約数と稼働率の解説で確認できます。
4.共通固定費を各メニューで重複して引かない
月50,000円の共通固定費をAにもBにも全額入力すると、合計で100,000円を差し引くことになります。事業全体の利益を求めるときは、同じ固定費を二重計上しないようにします。
各60時間の案で固定費を25,000円ずつ振り分けるなら、Aの参考利益は103,800円、Bは47,600円。合計は151,400円で、事業全体から50,000円を一度だけ引く計算と一致します。
ただし、固定費をどの基準で振り分けるかによって、メニューごとの見かけの利益は変わります。時間比、使用面積、専用設備など、比較の目的に合う基準を決めてそろえてください。特定メニューだけに発生する費用は、共通固定費と分けて整理します。
5.試算するときにそろえる項目
- 料金と費用の税込/税抜基準をそろえる。
- 材料等の変動費、手数料、時間の評価額を分ける。
- 準備・片付けを含む提供時間と、月に割り当てる時間を決める。
- 実際に見込む予約・実施件数を入力し、時間枠に収まるか確認する。
- 固定費の合計が事業全体の固定費と一致するか確かめる。
料金をどう決めるかから整理する場合は、サービス業の料金の決め方を、キャンセルによる変化だけを試したい場合は無料のキャンセル利益計算ツールをご利用ください。無料ツールには、複数メニューを並べて比較する機能はありません。
サービス業向けExcelのProは、最大6サービスの採算と時間配分を比較できます。固定費は利用者が各サービスへ振り分けます。「料金設定」と「サービス別比較」は独立した試算です。1種類のサービスの料金改定を考える場合はStandardが選択肢になります。
比較したいのは、料金が一番高いメニューだけではありません。1件の残額、使う時間、得られる予約数を並べると、自分の事業で見直すべき条件を整理しやすくなります。