予約キャンセルで利益はいくら減る?件数・空き枠・費用を分ける計算方法
予約が入った時点では順調に見えても、月末に振り返ると「思ったほど利益が残らなかった」と感じることがあります。予約型サービスでは、予約件数と実際に提供した件数を分けて考えることが大切です。
キャンセルの影響は、失った売上だけでは決まりません。提供せずに済んだ費用、すでに使った準備費用、空いた枠に別の予約が入ったかどうかによっても変わります。
以下は計算方法を説明する架空の例です。実際のキャンセル率や業界の相場を示すものではありません。
自分の数字ですぐに試したい方は、キャンセルによる利益への影響を計算する無料ツールをご利用ください。
最初に、同じ期間の予約とキャンセルを数える
まず、その月に提供予定だった予約を集計します。予約を受け付けた月を基準にすると、翌月の予約などが混ざり、実施件数と比較しにくくなるためです。
たとえば、今月提供予定だった80件のうち8件がキャンセルされ、空いた枠への追加予約がなければ、実施件数は72件。キャンセル率は8÷80=10%です。
ここでは1予約が1つの提供枠を使うサービスを想定します。複数人が同じ枠を利用するグループレッスンは、参加人数と枠数を分けた計算が必要です。日程変更についても、同じ月内で実施できたのか、翌月へ移ったのかを確認しましょう。
キャンセルで減るのは、売上と同じ金額の利益ではない
次の条件で、1件のサービスを提供するとします。
| 項目 | 仮の条件 |
|---|---|
| 料金 | 6,000円 |
| 実施1件ごとの変動費 | 800円 |
| 売上に比例する手数料 | 3%(180円) |
| 準備・片付けを含む提供時間 | 1時間 |
| 時間の評価単価 | 1,800円/時間 |
| 月間固定費 | 50,000円 |
この例では、キャンセルされた予約に変動費・手数料・時間の評価額が発生しないと仮定します。キャンセル料も受け取りません。
実施1件あたりの残額=6,000−800−180−1,800=3,220円
80件すべて実施した場合の参考利益は、3,220×80−50,000=207,600円です。8件キャンセルされて72件の実施になった場合は、3,220×72−50,000=181,840円になります。
売上の減少は48,000円ですが、参考利益の減少は25,760円。実施に伴う費用も減るため、売上の減少額をそのまま利益の減少額にはできません。
ここでの参考利益は、自分の作業時間の評価額も費用として差し引いた値です。会計上の利益や現金収支とは異なります。
キャンセル率を変えると、どこで目標を下回るか
予約80件、料金や費用は同じまま、空き枠への追加予約がない場合を比較します。
| 想定キャンセル率 | 実施件数 | 月間参考利益 |
|---|---|---|
| 0% | 80件 | 207,600円 |
| 10% | 72件 | 181,840円 |
| 20% | 64件 | 156,080円 |
| 25% | 60件 | 143,200円 |
月150,000円を目標にするなら、この条件では20%の想定で目標を上回り、25%では下回ります。ただし、料金やサービス内容を変更したときにも同じキャンセル率が続くとは限りません。
将来の試算では、予約件数×(1−想定キャンセル率)で実施件数の期待値を求めます。結果が小数になっても入力ミスとは限りません。実績の整数件数と、将来の期待値を区別してください。
空いた枠が埋まったら、実施件数に戻して考える
8件のキャンセルのうち、3枠に別のお客様の予約が入り、同じ月に同じ条件で実施できた場合はどうでしょうか。
実施件数は80−8+3=75件。参考利益は3,220×75−50,000=191,500円です。80件すべて実施した場合との差は16,100円に縮まります。
元の予約のキャンセル率10%は変わりません。一方、最終的に失った実施機会は5件です。「キャンセルが何件あったか」と「空いた枠を何件埋められたか」を別に記録すると、利益への影響を追いやすくなります。
追加予約の獲得費用や割引がある場合は、その負担も反映します。枠が埋まっただけで、元の予約と同じ利益に戻るとは限りません。
すでに使った材料や準備時間は別に差し引く
直前のキャンセルでは、材料を用意したあとだったり、準備に時間を使っていたりすることもあります。先ほどの例は、キャンセルされた予約に費用が発生しない仮定なので、こうした負担は含まれていません。
72件を実施したケースで、キャンセル8件それぞれに回収できない材料費などが500円かかっていたなら、追加負担は4,000円。参考利益は181,840−4,000=177,840円となります。
この500円は、実施した72件分の変動費とは別に発生した費用です。すでに月間費用などに含めている負担を、もう一度差し引かないようにします。準備時間の評価額を反映するときも、同じ時間を重複して数えないことが大切です。
目標利益に必要な予約件数も確認する
追加負担のない基本条件に戻り、月150,000円を残すために必要な予約件数を考えます。
必要な実施件数は、(150,000+50,000)÷3,220=約62.11件。実績の整数件数なら、少なくとも63件の実施が必要です。
キャンセル率10%を見込んだ予約件数の試算では、200,000÷{3,220×0.9}=約69.01件なので、切り上げて70件となります。70件の予約から63件の実施を期待する計算です。実際のキャンセル件数にはばらつきがあるため、目標達成を保証する数字ではありません。
必要な予約件数が、確保できる提供枠を超えていないかも確認しましょう。予約時点では枠を使うため、キャンセル後の実施時間だけで上限を判断しないようにします。
自分の条件では、まず3つの数字を分ける
まず記録したいのは、提供予定だった予約件数、実施件数、キャンセルに伴う追加負担です。空いた枠への追加予約も分けて残すと、キャンセルの発生と、その後の回復を把握できます。
料金そのものの見直しも含めて考えたい方は、サービス業の料金の決め方をご覧ください。費用の入力範囲を整理するには、変動費・固定費・作業時間の解説が役立ちます。
料金、キャンセル率、提供時間を変えて継続的に試算する場合は、サービス業向けExcelのStandard/Pro比較も確認できます。Excelの基本モデルは、キャンセル後の実施件数を期待値で計算します。空き枠の再販売、キャンセルに伴う追加負担、キャンセル料は自動計算しないため、この記事の応用例をそのまますべて再現するものではありません。